満月の雫のゴブレット・魔法の不思議雑貨

魔法の不思議雑貨**鉱物の森シリーズ**

Atelier SEIでは、「鉱物の森」という古木と水晶が混然一体となった、この世ならざる領域にある不思議な架空世界を舞台にした魔法の不思議雑貨の「鉱物の森」シリーズを制作しています。


この鉱物の森は、妖精や精霊、不思議な生き物やキノコたちが棲息している、魔法の力が存在する世界です。


魔法の不思議雑貨の「鉱物の森」を舞台にした妖精のドアやリースなどの作品は、それぞれに小さな物語を持っていて、互いにリンクした関係性で繋がっています。


 ***** 魔法の不思議雑貨の物語*****

 



  「満月の雫のゴブレット」

 

この世と異なる次元にある 鉱物の森
 
ここには様々な生き物が棲んでいますが

 

「鉱物の森」と言われるだけあって 

 

不思議な力を持った鉱物もたくさん存在しているのです



森の中に ひときわ異質な空間のストーンサークルがあります

 

この小さな聖域の中央に ひっそりとゴブレットが安置されています

 

そのゴブレットの中には 細く長い結晶が集まった水晶が納められ

 

 それは 息を吹きかけたら 壊れそうなほど儚げです

 


今宵は 美しい満月の夜です

 

それも 特別な満月の夜

 

様々な天体の法則がぴたりと合い 

 

魔法の力が飽和する夜

 

この夜を持ち続けた小さなドラゴンが この聖域に静かに佇んでいます

 

この特別な満月とゴブレットが 願いを叶える魔法となることを知っているのです


ドラゴンには見つけなければならない人間がいます

 

この世のどこかに 生まれ変わったその人間の魂の発露を感じ取ったのです

 

遥か古に『魂の誓い」を交わし 時を超えて守護者として その人を守るために。。




そして 時が満ち 大きな満月から 

 

金の針のような細い光がゆっくりとゴブレットに向かい

 

光る雨のように降り注ぎはじめました

 

細い光の筋は ゴブレットの水晶に当たると パッと花火のように

 

小さな閃光を放って消えていきます
 
やがて あたりが いつもの静寂に包まれた時

 

ゴブレットの中には 蒼く光る満月の雫が湛えられていました



ドラゴンは ゆっくりとゴブレットに近づき そっと手に取って

 

それを うやうやしく天に掲げ 

 

ドラゴン族に伝わる 古の魔法の呪文を唱えました

「時の海を超え 私は貴方を見つける

 

巡りゆく生と死を司る 月の光が射し示す彼方に」


深く息を吐いたドラゴンは ゴブレットの中の 満月の雫を ゆっくりと飲みほしました


ほどなくして ドラゴンの身体がキラキラと輝きだしました
 
 

そして 次第に透明になり 幽かに金の粒が弾けるように散ったのを最後に

 

鉱物の森から ドラゴンは消え去りました



 今 この物語を読んでいる 貴方

 

そっと 振り向いてみてください
 
 
そこに 小さなドラゴンは いませんか?




*****魔法の不思議雑貨の物語*****